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トピック

乳癌後のシリコンバックによる乳房再建術が保険診療となりました。
乳房再建術は「高額」というイメージで、踏み切れなかった方に朗報です。今年(H25)7月1日より乳癌専門医と形成外科専門医の連携のもと責任医師登録が認められた医師が、認定を受けた施設でのみ保険診療が実施可能となりました。当院は、形成外科専門医登録をしていますので、安心して治療をお受け下さい。

また、乳腺専門医療施設:うえお乳腺外科(大分)、藤吉乳腺外科(別府)、九大別府病院(別府)、たなか乳腺クリニック(別府)と連携し、乳癌から再建までをチーム医療として行っております。


今回、国内承認を得たシリコン製乳房インプラント。
(米国アラガン社製)

丸型、涙型の両方のシリコンインプラントが使用可能となりました。

乳房再建とは?

ご自分のお腹や背中の皮膚や筋肉を移植して再建する“自家組織による再建”とシリコンインプラントを用いて再建する“人工物による再建”の2つがあります。
両方とも保険診療が可能です。

乳房再建には癌切除と同時に行なう一時再建術と、癌治療が終わってから行なう二期的再建術があります。

以下の症例写真は二期的再建術です。

一時的再建術と二次的再建術について説明致します。

一時的再建術(癌切除と同時に行う乳房再建)

 

 

乳房温存術(部分切除)

A・C領域の場合 - 乳腺弁移行術

A、C領域の小さながんは、乳腺弁移行術で再建できます。
しかし、大きな欠損では変形を残します。

B・D領域の場合

B、D領域の乳癌は乳腺弁移行術では必ず変形を来します。

 

 

1.脂肪筋膜弁移行術

B、D領域の小さな欠損は脂肪筋膜弁で再建致します。

2.広背筋皮弁移行術

B、D領域とA、C領域の大きな欠損の場合は広背筋皮弁が適応です。

 

 

乳房温存術(部分切除)

 

 

乳頭乳輪温存乳腺全切除術(全切除)

皮膚を残して中身の乳腺と脂肪がなくなるので、乳房全体が平坦になり、しわになります。
また乳頭・乳輪が上方へ偏位します。

ボリュームを出す為に適応するのが以下の再建術です。

 

 

1.拡大広背筋皮弁移行術
2.遊離深下腹壁動脈穿通皮弁移行術
3.Tissue Expander(T.E.)+ インプラント

二期的再建術(癌治療後に行う乳房再建)

乳房温存術の場合、残存乳腺に放射線治療が行われることが多いため、さらに萎縮変形が起こります。
乳房切除術の場合、乳頭、乳輪も切除されるのでこの再建も必要となります。

二期的再建術(癌治療後に行う乳房再建)

乳癌治療は術後の変形がどの程度起こっているか、そのとき何の再建材料を使ってどこまで復元できるのかを乳腺外科の先生とよく相談することが大切です。
一連の流れを理解しておくと、二期的再建になっても慌てず、スムーズに手術を受けることができま す。

乳腺専門医と形成外科専門医チーム医療が悩める患者様の支えになることと確信します。

こんな方におすすめです。

  • 乳房が切除されてしまい乳房がない。
  • 温存手術を受けたが左右対称でない。
  • 温存手術を受けたがへこみが目立つ。
  • 乳頭、乳輪が欠損している。
  • 左右の乳房の大きさがちがう。
  • 乳頭、乳輪の位置、大きさがちがう。
  • 乳癌の傷が目立つ。

当院の乳房再建のポイント

ポイント1:自家組織、インプラントどちらも形がきれいにできます。

自家組織は、触感は柔らかくてよいと思いますが、おなかや背中の皮膚が胸にくるので、色合いのちがい(カラ―マッチ)が悪いです。その点、インプラントは手術の時についた傷しか残りません。欠点は触感がかたいこと、皮膚がふくらまないこと、大きい胸ができないこと、下垂乳房を作るのが難しいことです。

右:【自家組織(腹直筋皮弁)による再建術+乳頭乳輪再建術】
左:【インプラント(人工物)による再建術+乳頭乳輪再建術】

ポイント2:インプラントによる再建が施設により保険診療となりました。

以前は、自費診療の範疇で行われていましたが、60~180万円とその差も激しく、受ける患者様の数も少ないものでした。今回、保険診療となったことで、高額医療費の申請を行えば、8.5万円程度で可能となりました。患者様にとっては朗報です。

ポイント3:インプラントや自家組織による再建術の限界を打破するには

インプラントや自家組織による再建術の限界を打破するのは、反対側の乳房縮小、固定です。インプラントや自家組織による再建術の限界は下垂乳房が作成しずらいことです。
しかし、下垂乳房をつくることが美しい乳房をつくることになりませんので、当院では、乳輪縁のみの切開で、下垂乳房をつり上げ、固定、縮小し、形を整える手術も行っています。美しさの原点は常に左右対称であることを考えて治療に望んでいます。

ポイント4:乳房、乳輪もきれいに再建します

乳輪は大腿内側基準からの植皮術、乳頭は、対側の乳頭半切か、皮膚を翻転して作製します。

症例 ~乳房再建~ 代表的な症例を供覧します。

症例紹介1:乳房温存術式によって変形をきたした症例

温存すれば形が維持されると思われがちですが、実は誤りで、逆におかしな変形がのこってしまいます。

左乳癌で乳房の外側温存療法を受けられ、変形をきたしています。無理に縫合されていますので、縫合された乳腺を解除し、乳頭乳輪の位置を元に戻し、皮下の欠損に脂肪幹細胞脂肪注入を行い、左右ほぼ対称の乳房が再現できました。

うえお乳腺外科とは、乳癌切除の同時再建や2期的再建を行なっています。

症例紹介2:乳癌切除と同時に行った乳房再建

左乳癌の症例です。

乳癌切除と同時に組織拡張器を挿入しました。4ヶ月後にシリコンインプラントに入れ替えを行うのと同時にシリコンの周囲に脂肪幹細胞脂肪注入を行った症例です。傷跡はありますが、滑らか、自然でほぼ左右対称の乳房が再現できました。

乳癌切除と同時に再建に入るので、皮膚の委縮をきたすことなく、きれいな再建手術が可能となるわけです。

症例紹介3:右乳腺腫瘍

反対側が非常に大きく、右側の皮膚がどれだけふくらむか 心配でしたが、手術を工夫することにより、ほぼ同じ乳房が完成しました。

症例紹介4:両側乳癌の再建

2期的再建の症例です。

両側乳癌切除後、組織拡張器を用いて皮膚を拡張しているところです。組織拡張器の位置がやや上方ですが、次の手術のときに修正可能なので心配いりません。(右図)

4ヵ月後、シリコンインプラントに入れ替えを行い(下図),乳頭乳輪を形成したところです。以前より美しい乳房になったと喜んでおられました。

症例紹介5:古典的な乳癌手術の再建

従来は、皮膚、乳腺、脂肪、筋肉を広範囲に切除していましたので、このような大きな欠損となっていました。
鎖骨下から

肋骨が見えるほど切除され、皮膚1枚しか胸壁を守るものがなく、安全とはいえません。腹直筋皮弁にて被覆することを予定しました。

右図はデザインです。
1回目の手術を終えたところです。よって1回目の手術は、腹直筋皮弁が血行におて安定するようにどうしても大き目の組織移植となります。皮弁が生着してから細部を整えていくことになります。斜線部のボリュームを減らします。
斜線部の脂肪を除去し、新たに乳房下溝を形成し、乳頭、乳輪を作成して完成です。
しっかりしたボリュームで、胸壁が守られ安全です。乳房もほぼ対称的に完成しました。

乳房再建術の内容と特徴・メリット・デメリット

施術名 自家組織による
乳房再建術
インプラント(人工物)による
乳房再建術
持続効果 長期間 長期間だが、インプラント入れ替えの場合あり。
見た目 お腹や背中の皮膚が移植されるので、カラ―マッチ(色合いの違い)が悪い。 新しい皮膚は移植されないので、カラ―マッチ(色合いの違い)はよい。
さわり心地 自然。
おなかや背中のさわり心地となる。
かため。直接シリコンがふれる為、
かたいイメージはある。
デザイン性 難しい。
乳房のマウントを作成する技術が必要。
比較的容易。
インプラントには豊富な種類があるので、
その中から選別できる。
費用 保険診療
(高額医療申請の対象で8.5万円程度)
保険診療
(高額医療申請の対象で8.5万円程度)
メリット 生着すれば、自己組織なので、感触は自然。
ただし、数回の手術が必要になることもある。
新たに傷がつくことなしに
その部分だけで再建可能。
デメリット 一旦血行が悪くなれば、移植組織が壊死し無駄になる。
胸以外に傷がつく。
組織をとった部分に機能障害がややおこる可能性がある。
入院の必要あり。治療に1ヶ月はかかる。
インプラント破損、露出の可能性。
皮膚のふくらみ具合により、大きさの限界あり。
下垂乳房は再建が困難。
ダウンタイム 1ヶ月と長い 約1~2週間と短い

学術的理論

九州大学別府先進医療センター外科・うえお乳腺外科と提携し、乳房切除~再建までをチームで行っています。
九州大学別府先進医療センターとは、乳癌の温存手術療法後の変形に自己由来幹細胞を用いて、乳房再建に取り組んでいます。

脂肪組織由来幹細胞(ADSC)は分化誘導によって軟骨細胞、骨細胞、筋肉細胞、心筋細胞、血管内皮細胞、神経細胞、肝細胞など、様々な細胞・組織を形成することが知られています。

分化誘導には、生体外で特定の物質で一定期間培養する必要があり、それぞれ分化誘導に関与する物質が報告されています。
しかし分化が生体内でも維持され続けるか否かは不明です。

ADSC(脂肪組織由来幹細胞)分離後3日 通常培養(αMEM) 脂肪細胞分化誘導培地
核染色体 FABP4 染色 merge

Frontier Surgeryより引用

分離後ADSCは小コロニーとなり、培地により分化が誘導され形態がかわる。この脂肪幹細胞を用いて乳癌術後の欠損の治療や自家組織あるいは人工物(インプラント)による乳房再建の治療の一部に用いていま す。

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よくある質問

自家組織とインプラントはどちらがよいですか?
どちらも保険診療になりましたので、あとは、患者様の好みになります。どちらも一長一短ありますので、カウンセリングでよく相談して決めて下さい。
温存治療で乳房の変形をきたしている場合も保険診療ですか?
もちろんです。自家組織を用いたり、インプラントを用いたりして、対称性のある乳房を形成します。
インプラントによる再建の完成までの過程を教えて下さい。
乳房切除とともに組織拡張器が押入されてある場合は、4~5カ月程、拡張器をふくらませてから、シリコンインプラントによる再建となります。組織拡張器が挿入されていない場合は、 一旦組織拡張器を挿入する手術(保険)を受けられて、5カ月後にシリコンインプラントに入れ替えとなります。
乳房下垂も治したいのですが、傷が残るのが心配です。
当院では、乳輪上半分の切開で行いますので、心配いりません。
ご相談・お問い合わせ

院長より

乳房再建は、保険診療となりましたが、結果はすべて医師の技術にかかっています。最新の治療機器を御用意して、すばらしい乳房チームで、手術を受けられます様、万全を期しておりますので、是非、悩まずに御一報下さい。
よりよく美しく生きることが人生の目的ですので、それを実現させるには我々は努力をおしみ ません。

料金

診療内容 費用(税別) 備考
乳房再建(高額医療申請の場合) 85,000円程度 自家組織による乳房再建術
85,000円程度 シリコンインプラント再建術
ご相談・お問い合わせ
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